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日本語・日本文化 越日国際シンポジウム(実施報告)[2009年5月14日]

昨年度の日本語・日本文化 タイ日国際シンポジウムに引き続き、今年度は、2009年3月20日、「変容するベトナムの日本語教育」をテーマとして、「日本語・日本文化越日国際シン ポジウム」が開催された。シンポジウムへは100名を超える参加があり、盛会であった。

尾上新太郎教授(大阪大学言語文化研究科言語社会 専攻海外連携コース代表)による歓迎と開会の挨拶に引き続き、ギエム・ヴィエット・フォン氏(ハノイ大学日本学部長)の基調講演「ベトナムにおける日本語 教育の変遷」が行われた。さらに、「ベトナムにおける日本語学習者のニーズの多様性とその教育対応」のテーマのもとに5名のパネリストによる発表が行われ た。まずグェン・ホン・トゥー氏(ホーチミン市師範大学日本語学科)から「ベトナム中南部の中等教育における日本語教育と教員養成」という題目で2003 年以後導入されている中等教育における日本語教育について4人の教師が行った授業を分析し、ホーチミン市師範大学における教師養成コースを運営する際の留 意点の紹介があった。次に、ヴー・ミン・ヒエン氏(ハノイ大学日本学部)から「ハノイ大学日本語学部の日本語日本文化教育:初級から中上級までの教育の現 状とその課題」の発表があった。ベトナムでの日本語教育は1973年に開始され、一時的な中断の後、1993年より日本との交流が盛んになってきたため再 開され、教師不足、教材、設備の不足などの困難に直面しながら、ある程度評価できる段階になっているとの説明があった。日本側からはベトナムとの関わりが 深い伊藤正教授(大阪大学大学院基礎工学研究科)から「ベトナムとの大学院サンドイッチジョイントプログラムと日本語教育」の紹介があり、理系の分野とい えども、日本語のコミュニケーション能力が必要であるとの指摘がなされた。続いて、ベトナム語教育の専門家である冨田健次教授(大阪大学世界言語研究セン ター)から「ベトナムにおける漢字教育復活の必要性と可能性」があり、ベトナム語を学習している日本人にとっても非常に貴重な提案がなされた。最後に平尾 得子准教授(大阪大学日本語日本文化教育センター)による「国際的連携の中の日本語日本文化教育」でパネルを締めくくり、討論に移ったが、フロアからも活 発に様々な質問がなされた。

ベトナムにおける日本語教育にはまだいろいろな問題点があるにもかかわらず、ハノイ 大学では日本留学経験のある教師が教育に携わって、着実に成果を上げている。また中等教育においては、将来の就職のことを考え、英語よりも日本語を学ばせ たいと思っている親が多いという事実も明らかになった。本シンポジウムでは、本センターが直接に携わる大学レベルでの日本語・日本文化教 育という視点だけではなく、ベトナムにおける中等教育、理科系専門教育との関係、さらには、日本におけるベトナム語教育からの視点、など多様な観点から議 論がなされた。本シンポジウムでの成果を元に、本センターの教育のさらなる充実を目指したい。

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